オーセンティックリーダーシップ。弱さを見せられるリーダーこそが強いし、求められている。
先日、辞めた会社でお世話になった方と再会しました。
私が35歳にして初めて外資系企業の経営職に着いた時に一緒に働いてくれていた人です。
その方と話している中で、当時何とか自分を大きく見せようとガチガチになっていた自分を思い出しました。
そして帰り道、今本業にしているコーチングと照らし合わせてみることで、はっきりと分かったことがあります。
弱さを見せられるリーダーこそが、本当に強い人だし、求められているということです。
自分をさらけ出すことは怖い
自分をさらけ出すということは怖く、とても勇気のいることです。
それは私だけではなくて、誰にとっても同じことと思います。
誰かからネガティブな評価をされるかもしれない。
不愉快な噂話をされるかもしれない。
あの人は弱い人だというレッテルを貼られたらどうしようという不安。
色々と考え始めると、ますます自分を出すことができなくなります。
はじめての経営は、想像以上に大変だった
私がはじめて経営ポジションについたのは35歳の時。
できるだけ早く若いうちに経験を積みたいと考えて手に入れたチャンスでした。
他人を蹴落としてでも自分が出世したいというようなタイプではありませんでしたが、それでも少なからず見栄のようなものはあったと思います。
チームの前に立った時に、絶対に間違ってはいけない。絶対にミスを犯してはいけない。
そういったことが頭の中をかけめぐりました。
最初は分からないことがあまりにも多すぎて自分の力不足に落ち込む毎日でしたが、努力を続けていればいつかなんとかなると信じて日夜働いていました。
そしてチームの前に立つ時には、自分の弱さをできるだけ見せないよう、去勢を張って強い人間を演じて頑張っていたのです。
自分の力だけではどうにもできないことがあった
それでもどれだけ努力をしても、自分の努力だけではどうにもできないこともありました。
売上が上がらない。
コストが下がらない。
プロセス改善が思ったような早さで進まない。
チームワークが改善されない。
競合他社にビジネスを取られてしまう。
これらは、自分1人だけがどれだけ努力を積み重ねたところで、どうにもできないのです。
そしてそのうち、それまでの自分のリーダーシップスタイルに限界を感じるようになりました。
弱さを見せないリーダーは、周りが萎縮する
常々私がチームに言っていたのは、「どんどんとチャレンジをしましょう!」ということ。
しかし、その言葉を聞いて、「チャレンジをしよう!」と、そでをまくって立ち上がる人の数は、願ったほどではありませんでした。
新しいチャレンジをすると失敗をする可能性があります。
失敗をすると、それがネガティブな評価となる恐れもあります。
当然それは誰にとっても怖いわけですが、そんな時にリーダーであるテツを見てみます。
リーダー自身はどのようにチャレンジしているのか?失敗した時にどう振る舞っているか?と。
すると、威勢のいいことは言ってるものの、本人が失敗している姿は全然見せてくれません。
実際のところは、たくさんチャレンジをしていたし、合わせて数多くの失敗もしていました。
しかし、弱さを見せてはいけないと、失敗する姿を一切見せていなかったのです。
すると、何が起きるか?
リーダー本人が失敗や弱さを全然見せてくれないものですから、それを見ている人にとって、新しいチャレンジをして失敗することが許されないと考えてしまうのです。
そして、それであればわざわざリスクをとってチャレンジしようとは考えません。
これはリーダーである私自身の問題であったと大反省です。
自分をさらけ出すと、メンバーも生き生きとする
もしあの当時の私が自分の失敗についておおっぴらに話すことができたり、自分の弱さを共有したりすることができていたら、もっと状況は変わっていたと思います。
周りから見ても、
「ああ、テツさんもああやってチャレンジをしては失敗をしている。あんなに弱いところもあるんだな。」
そんな風に感じてもらえたと思います。
すると、
「リーダーでも失敗してるんだから自分だって失敗していいでしょ。」
「リーダーにだって弱いところがたくさんあるんだから、自分にだって弱い部分はあるし、それを見せることも怖くない。」
「だからチャレンジをしてみよう。」
そんな雰囲気ができていたかもしれません。
オーセンティックリーダーシップ
オーセンティックリーダーシップという言葉があります。
オーセンティックとは、「その人らしく、個性がある」という意味です。
リーダーがその人らしく、強みも弱みも全てさらけ出すことで、チーム全体が勇気づけられるというものが、オーセンティックリーダーシップです。
自分をさらけ出すことを、リーダーが自分自身に許可をし、そして一緒に働いてるチームメンバーたちにも許可をする。
そうすることで、よりチャレンジ精神が高まり、生き生きとした組織になっていくのだと、今となって学びました。
お世話になった方と一緒に。