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【Management by Walking Around】「現場」を歩くリーダーには力が宿る。

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こんにちは、西原哲夫です。

私が新卒で住友電工という製造業の会社で働き始めた時、最初に学んだ言葉の一つが「三現主義」というものでした。

それは、「現実・現物・現場の3つが大切である」という教えです。

さまざまな解釈がある中で簡単に言うと、「現実・ファクトを集めよ」「現物を見て良品・不良品を判断せよ」「問題解決の手がかりは現場にある」といった内容です。

要するに、「机上の空論だけで仕事をするな」という戒めです。

今回はそのうちで「現場」について書きます。

実はアメリカの大企業でも「Management by Walking Around (歩き回りながら行うマネジメント)」という言葉があるくらい、現場を歩くことの大切さが求められます。

リアルで最新の情報は現場にある

新卒で製造業で勤めはじめた頃の私にとって、「現場」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、製造現場でした。いわゆる工場です。

日頃はデスクに座ってPCを前にする仕事ばかりをしていたわけですが、どうしてもリアル・最新の情報が欲しい時、現場・工場での情報が大変貴重でした。

当時私は営業として自動車メーカーを担当しており、顧客との価格や納期の交渉に携わることが多かったのですが、顧客に説明するための根拠となる情報やロジックを常に必要としていました。

当然、普段PCの前にばかり座っている営業担当の話になど説得力はなく、お客さまはなかなか首を縦に振ってくれません。

そのような中で上司に相談をすると、「現場を見てきなさい。」といって製造現場である工場へ出張に行かせてくれます。

当時、新幹線に乗って出張に出かけられるだけで浮かれていたものでしたが、現場である工場のナマの情報から得られる学びの多さにいつも驚かされました。

そこには日々の改善の努力と工夫があり、後日それをお客さまに伝えると、不思議と納得してもらうことができたのです。

お客さまもその業界のプロですから、営業担当である私の話を通じて、現場の様子が想像できたのだと思います。

このように、現場を歩くことで得られるリアル・最新の情報に勝るものはないことを学びました。

現場を仲間・味方につける

そして、もう少し時は経って、中堅クラスになってからのこと。

新しいプロジェクトを進めようとすると、社内部門の同意を得られるかどうかがポイントのひとつになるようになりました。

新しい商品やサービスが必ず売れるかどうかなど事前には分かりません。新しい業務改善のプロジェクトだって、必ず狙った成果が出るとも限りません。

しかし、実際に取り組むとなると多くの関係者の協力や努力を先に求めることになります。

今までの業務の進め方を大幅に見直したり、既存のビジネスを一部犠牲にしたりすることだってお願いしないといけないことがあります。

そういう時に、チームを仲間・味方につけることができるかどうかは、普段から現場を歩いているかどうかにかかってきます

「現場を分かっているあの人の言うことなら聞いてみよう。」なのか、

「現場のことも分からずに作られた計画なんて。」なのか、

リーダーの日頃の現場への関心・関与がものを言うものです。

T先輩からの学び

昔の職場の先輩に、Tさんという方がいました。

社内でどのような仕事をしていても、敵がいないどころか味方ばかりのTさん。

Tさんが進める仕事はいつだって支援者・協力者がついています

不思議に思ってTさんの行動を観察していると、自分の席に座っていることは比較的少なく、いつも現場や他部門のデスクに出向いては、座り込んでいろんな人たちとあれこれ話をしています

なるほど、そういうことかと思い、自分も真似をしてみることにしました。

するとある日、隣の部門のリーダーの方から声をかけられました。

「西原くんはよくウチの部門にも顔を出してくれるね。まるで君の先輩のTさんみたいだ。何か必要なことがあれば遠慮なく言ってね、サポートするから。」

現場を歩くことで仲間や味方ができることを学べた瞬間でした。

アメリカ大企業の経営者も現場を歩く

「現場を歩くなんて前時代的だなあ。。」と、私だって思わないことはありません。

これだけテクノロジーが発達した今日、いちいち歩き回らずにコミュニケーションをすることだって可能です。

しかし、現場でしか得られないような雰囲気や温度感だってあります。

私が過去に勤めていたエマソン社(Fortune500の大企業)の幹部・リーダーたちもよく現場を歩き回っていました。

現場で働いている人たちに積極的に声をかけ、「最近どんな新しい製品を作ったの?」「この仕事の難しさを教えてくれない?」などと、興味や関心を示しながらコミュニケーションを重ねるのです。

それによってリアルで最新の情報が取れることはもちろんのこと、普段はなかなか話すことのできない相手とも心の距離を縮めることができていました。

アメリカ本社から最高幹部たちが日本に出張に来る時は、私が日本の代表として現場を案内して回ることもしていました。

このように、アメリカ大企業の経営者にとっても現場を歩くことは重要で、「Management by Walking Around (歩き回りながら行うマネジメント)」という言葉が浸透しているほどです。

実際私もアメリカ現地で日本人ただ一人の職場で働き始めた時も、歩いて、歩いて、歩き回っていました

工場から倉庫から、全フロア・全オフィスを歩き回りました。

毎日歩きました

いる人たちには声をかけ、自分の顔と名前を知ってもらうことも出来、その後さまざまな仕事に取り組みましたが、いつも多くの人たちが力を貸してくれ、結果としてリーダーのポジションへと担ぎ上げてもらうことが出来ました

住友電工時代にT先輩の後ろ姿から学んだことは、グローバルに通用する本質的なビジネススキルであることを知る経験になりました。

歩くべき現場はどこにでもある

このように、現場を歩くことが大切ですが、その現場とは製造業にとっての工場だけではありません。

顧客や取引先との交渉現場に同行をすることもそうですし、それこそ自分が管轄するチームのデスクの合間を歩き回ることだって、現場を歩くことと考えられます。

従業員意識調査やエンゲージメントサーベイなどの結果とにらめっこしなくても、自室を出てオフィスを歩き回るだけでも、いくらでも生の情報に触れることができるのです。

さあ、今日はどこの現場を歩きに行きましょうか?

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プロフィール
西原哲夫 | Tetsu
西原哲夫 | Tetsu
コーチ | プレゼンスジャパン株式会社 代表取締役
2児の父 | 表千家茶道 学習者 | 外資系企業経営 2社 | アメリカMBA | Likes:自然・旅行・歴史・蕎麦・甘味
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