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人材育成の黄金ルール:70-20-10の法則、アメリカ企業での使われ方実例

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今回は「人材育成の黄金ルール」である、「70-20-10の法則」について書きたいと思います。

私自身がアメリカ企業で勤務していた当時、この法則に則って育てていただきましたし、自分が経営者の立場としてもこの考え方を使って次世代リーダーの育成に取り組んでいました。

そして、この考え方を個人として取り入れる時にも、何が考えられそうか書いてみたいと思います。

人材育成の黄金ルールである、「70-20-10の法則」とは

「人材育成の70-20-10の法則」を聞いたことはありますか?

これは、ビジネスリーダーが育つためには以下のアプローチが効果的であるというものです。

「70-20-10の法則」

70%:現場経験、難易度の高い業務、組織横断プロジェクト、修羅場経験

20%:他人からの学びやフィードバック、メンタリング、コーチング

10%:学校、研修、セミナー、読書

まず、人が育つために必要な経験として、その大半である70%を占めるものは、実際の現場経験であるということです。

実務が重要であることは当たり前といえば当たり前ですが、少し注意点があります。

それは、過去から続けていて慣れてしまっている業務、もしくはただの単純作業を繰り返していても、それが成長につながるとは限らないということです。

ここでの現場経験とは、単純作業のことではなく、普段よりも少し背伸びして頑張らないと達成できないような業務のことです。

赤字ビジネスの立て直しが最たる例ですが、そこまでいかなくても、新しくチャレンジすることや、組織横断プロジェクトなど、自分がそれまで取り組んだことがなく、複雑性もあるものが、それに当たります。

次の20%は、他人からの学びです。特に、上司やメンターからの学び、そして同僚や部下たちからのフィードバックが有効です。

どれだけ仕事のできる人であっても、一人で成し遂げられることには限りがあります。

大きな仕事をしようとすると、誰かと一緒に協業することが求められるわけですが、だからこそ、自分自身のリーダーシップやチームワークに対してフィードバックをもらうことが重要です。

それによって、自分自身について客観的になれたり、新しい気づきや学びを得ることができたりし、それによって成長に向かうことができるようになるからです。

そして最後の10%は、学校や研修・セミナーなど、体系的な教育からの学びです。

学校へ通うまでの時間が取れなかったとしても、1日や数日程度の研修やセミナーに通うことで、新しい知識や考え方を仕入れることができ、それも成長につながります。

「大人の学習モデル」と呼ばれている

この「70-20-10の法則」は、30年以上にわたって、アメリカのCenter for Creative Leadership (略してCCL) という研究機関で研究し実証されてきたものです。

アメリカの人材開発業界では、非常に一般的な知識・考え方となります。

私の身の周りではこれを「Adult Learning Model (アダルト・ラーニング・モデル)」、つまり、「大人の学習モデル」と呼んでいました。

子供たちが受ける学校教育は得てして教師たちからの一方向的な講義が多くなりがちです。

それに対して、大人は能動的に教育機会を組み合わせることで学びや成長を最大化する、という意味合いです。

<実例>アメリカトップ企業での「70-20-10の法則」の使われ方

私は過去に2社、アメリカのトップ企業 (Fortune500) で勤めていましたが、どちらの会社でもこの考え方を使って人材育成を行なっていました。

たとえば私自身が受けた例でいいますと、

70%:難しい現場経験や組織横断プロジェクト

まず、70%である、難しい現場経験についてですが、これでもかというほどに新しいプロジェクトや業務を担当させていただきました

たとえば、

会社全体のウェブサイトを刷新する際、組織横断チームに部門から代表者を送り込まないといけないとなれば、

「テツ、お前は興味あるか?」と上司から笑顔で言われますし、

問題のあるビジネスがあれば、

「テツ、お前の力で立て直してみないか?」と、またまた笑顔の上司が近寄ってきます。

その時、期待される答えは「Yes / はい」ですが、自分の力をつける大チャンスなので、私は喜んでやらせてもらっていました。

ちなみに余談ですが、アメリカといえど、多くの人はそのようなチャンスをつかみに行きません。

大変な仕事を避けるのは人間の心情です。実際に手を挙げてやるのは10人のうち1人くらいでしょうか。

そして実際にやる人には、さらに新しいプロジェクトが集まってきて、さまざまな経験を積み力をつけていきますので、とんとん拍子で出世もしていきます

20%:上司・メンター・同僚など他人からの学び

続く20%は、上司やメンター、同僚など、他の人たちからの学びになります。

どれだけ素晴らしい業務経験を積んだとしても、それを振り返ったり、自分自身に対してフィードバックをもらう機会をもったりしないことには、その経験をうまく成長につなげることができません。

「あのプロジェクトに取り組んでいた時、あなたのリーダーシップはこのように見えていましたよ。」などというフィードバックをもらってはじめて、自分自身のことを客観的にとらえて学びにつなげることができるようになります。

私自身の経験を振り返ると、上司とは毎週のように1on1、つまり、1対1の個別ミーティングをもち、アドバイスを仰ぐだけでなく、ビジネスに関するさまざまな話をしていました

時には、世界中の文化の話であったり、政治の話になったりすることもありましたが、上司の頭の中にある知識やモノの見方を吸収する機会になり、大変有益でした。

もちろん、自分の日頃の振る舞いについてフィードバックをしてくれることも多々ありました。

そして会社側から公式にメンターをつけてくれる機会があった際には、社内人事部門トップの方にお願いしたり、社外の経営経験がある方にお願いしたりしていました。

さらに、私自身に対する360度評価を行ってくれる機会もあり、上司のみならず、同僚や部下たちからもフィードバックをもらうことをしていました。

思わず目をそむけたくなるような、耳の痛い内容が数多くありましたが、自分の振る舞いを見直すまたとないチャンスととらえると、それ以上の学びはないと思えるほど貴重なものでした。

10%:学校や研修・セミナーなど、体系的な教育

最後の10%ですが、私が勤めていた会社では、研修をよく活用していました。

大きな企業でしたので、社内に研修担当部門があり、自前でコンテンツを作り、それを世界中の従業員たちに展開していました。

また、これはさすがに対象者が限られていましたが、

私はCEOをはじめとした経営幹部層たちとのミーティングに呼んでもらい、会社経営に関する授業のようなものを受けさせてもらっていました

幹部層が直接手ほどきをしてくれるので、そこにはかなりの緊張とプレッシャーがあるのですが、とてつもなく大きな刺激とやる気をもらっていました。

この最後の10%はないがしろにされがちなのですが、「気づき」や「やる気」を引き出すことも目的であり、これがあることによって、残りの90%が機能するようになる、という考え方もできます。

つまり、この10%が「やる気の着火剤」なのです。

逆に言うと、この10%がないと、キツい実務経験だけでは疲弊して燃え尽きてしまう、ということです。

経営者や管理職の立場にある方は、部下の育成において、この10%をないがしろにしないことをおすすめします。

70-20-10の法則を個人目標にも当てはめる

この「70−20−10の法則」を個人目標に当てはめると、何が考えられるでしょうか?

まず、70%のところでは、これまでにやったことのない、何か新しいチャレンジに取り組んでみるということ。

どんなことでも構いませんので、少しでも興味があることで、何か新しいことを目標に設定してみてください。

そして20%では、自分に対してフィードバックやアドバイスをくれるようなサポートシステムを作るということ。

家族でも友達でもいいですし、コーチをつけてみるということも選択肢です。

そして最後の10%として、たまには研修やセミナーを受けに行ってみませんか?

そこで何か新しい気づきや学び、そして刺激をもらうこともあるかもしれません。

日常的には「読書」でも十分です。

あなたはこの「70−20−10の法則」を使って、どんなことに取り組んでみたいと感じましたでしょうか?

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プロフィール
西原哲夫 | Tetsu
西原哲夫 | Tetsu
コーチ | プレゼンスジャパン株式会社 代表取締役
2児の父 | 表千家茶道 学習者 | 外資系企業経営 2社 | アメリカMBA | Likes:自然・草木の香り・散歩・旅行・歴史・蕎麦・甘味
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